✈️下地島空港と宮古空港がつくる未来|宮古島はアジアの交差点になれるのか【編集者コラム】

2014年に宮古島へ移住した編集者の視点から、島の変化と未来を記録するコラム。

宮古島の空に起きている変化

最近、下地島空港の国際線拡大というニュースを目にする機会が増えました。韓国、台湾、香港。次々と海外都市と結ばれていく宮古島ですが、これは単なる観光ニュースではないように感じています。いま起きているのは、島の立ち位置そのものが変わり始めているという変化です。宮古島が「目的地」から「結節点」へと役割を変え始めている、そんな空気があります。

私が宮古島へ移住したのは2014年8月。当時の島は今よりも静かで、「遠い南の離島」という印象がまだ色濃く残っていました。この島が数年後、国際線やアジアとの接続を語る場所になるとは想像していませんでした。

訓練空港として始まった下地島空港

下地島空港は1979年、日本唯一の民間パイロット訓練専用空港として開港しました。3,000m滑走路を持つこの空港は長い間、観光客ではなくパイロットのための場所でした。建設当時は軍事利用への懸念から住民の反対運動も起こり、1971年には軍事利用を行わないことを定めた屋良覚書が交わされます。平和利用という約束のもと誕生した空港でした。1990年代には年間約2万9,000回の発着を記録し、「タッチアンドゴー」で知られるパイロットの聖地となります。

当時の下地島空港は、島の未来を変える存在というより、静かにそこにある場所でした。

島の景色を変えた伊良部大橋

移住から間もない2015年1月23日、伊良部大橋が開通します。それまで船で渡っていた伊良部島が一本の道で宮古島とつながった瞬間でした。

橋ができたことで距離そのものより「心理的な境界」が消え、人の流 means が大きく変わりました。今振り返ると、この出来事こそが下地島空港の未来を動かし始めた最初の転換点だったように思えます。

役割を失いかけた空港の転換

フライトシミュレーター技術の進歩により実機訓練は減少し、2015年にすべての訓練が終了します。空港は存在しながら目的を失いかけました。しかし2019年、新旅客ターミナルが開業し、下地島空港は「第二の開港」を迎えます。

移住してからわずか数年の間に、橋ができ、空港が生まれ変わり、島は大きく姿を変えました。同じ場所にいながら、別の時代に移ったような感覚でした。

宮古島に2つの空港がある意味

宮古島には宮古空港と下地島空港、2つの空港があります。宮古空港は東京や沖縄本島と結ばれ、通院や仕事、帰省など島民の日常を支える生活の空港です。一方、下地島空港は旅の入口として設計され、国際線運用に適した交流の空港として機能し始めています。

生活を支える空と、世界につながる空。この役割分担が同じ島に存在することは、いま大きな意味を持ち始めています。

アジアから見た宮古島の位置

日本地図では南の離島でも、アジアの視点で見ると宮古島は中心に近い場所にあります。台北まで約1時間、香港まで約2時間半、ソウルも同程度。東京より近い海外都市が複数存在します。

航空会社が国際線を増やす理由は、この距離が近距離リゾートとして理想的だからです。宮古島は日本の端ではなく、アジアの中間地点として認識され始めています。

2空港が連携した未来像

もし下地島空港が国際線の玄関口となり、宮古空港が国内ネットワークを担ったらどうなるでしょう。海外から宮古島へ入り、日本各地へ移動する流れ。国内から宮古島を経由してアジアへ向かう流れ。

宮古島は通過点ではなく、滞在する中継地として機能する可能性があります。巨大都市型ハブではなく、滞在価値を持つリゾート型ハブという新しい形です。

ハブとは急ぐ場所ではない

一般的なハブ空港は乗り換える場所ですが、宮古島で生まれるかもしれないハブは違います。海を見て、風を感じ、数日滞在してから次の場所へ向かう。「滞在するハブ」という概念は、この島だからこそ成立する未来なのかもしれません。

変化の中で残したいもの

移住してからの十年余りで、宮古島は確かに様変わりしました。便利になり、世界との距離は縮まりました。それでも変わってほしくないものがあります。風の音、夜の暗さ、急がない時間。

宮古島はどんな島であり続けたいのか。速さを求める島なのか、それとも余白を守る島なのか。未来は空港ではなく、人の選択によって形づくられていきます。

編集後記|滑走路の向こう側

2014年にこの島へ来たとき、ここは静かな南の離島でした。いま同じ滑走路に、世界から飛行機が降り立とうとしています。

宮古空港と下地島空港、2つの空が交わるとき、宮古島は観光地から交流拠点へ変わっていく。その未来は、もう静かに始まっています。

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