伊良部トウガニまつりは、宮古島諸島の伊良部島で毎年開催される、島の伝統民謡「伊良部トーガニ」を讃える祭りです。この祭りは、伊良部島に古くから伝わる叙情歌「伊良部トーガニ」を後世に伝え、島の文化を守り育てるために2000年から続けられてきました。「伊良部トーガニ」とは、三線の伴奏に合わせて歌われる叙情歌で、歌詞には男女の情愛が繊細に表現されています。この民謡の名前は、かつてこの歌を歌っていた唐金(トーガニ)という人物に由来しています。
祭りでは、「伊良部トーガニ」を中心に、「トーガニアヤグ」と「島タウガニ」の3つの部門で歌が披露されます。出演者は、声量、音程、発声、情感、態度などの要素で評価され、得点を競い合います。「トーガニアヤグ」の「アヤグ」とは、宮古島の方言で「唄」を意味し、この歌もまた三線の伴奏に合わせて祝いの場で歌われる伝統的な曲です。一方、「島タウガニ」は「伊良部トーガニ」よりも古い歴史を持ち、三線の伴奏なしで生の声のみで歌い上げられます。この3つの部門がそれぞれの特色を持ち、伊良部島の豊かな音楽文化を存分に感じられる内容となっています。
祭りのオープニングでは、伊良部島の子どもたちによる「伊良部トーガニ」の合唱が披露され、会場は温かい雰囲気に包まれます。この合唱は、島の未来を担う子どもたちが伝統を継承していく象徴的な瞬間です。
伊良部トウガニまつりは、子どもからお年寄りまで、島全体が一体となって楽しむ一大イベントであり、島の文化と歴史を深く感じることができる貴重な機会です。この祭りを通じて、伊良部島の人々はその誇りを共有し、伝統を次の世代へと繋いでいます。観光客にとっても、島の豊かな文化を体験し、島民との交流を楽しむことができる特別な祭りです。