ソーキそばはどこから生まれた？宮古島でも人気の味のルーツをたどる
宮古島の旅でよく見かけるソーキそば。やわらかく煮込まれた骨付き豚肉（ソーキ）と、透き通った出汁のスープ、小麦の香りがする沖縄そばの麺が合わさった一杯は、観光中に「一度は食べたい沖縄グルメ」の定番です。しかし、ソーキそばは最初から沖縄の定番として存在していたわけではありません。「宮古島といえば宮古そば」という時代が長く続いていました。では、ソーキそばはどこで生まれ、なぜここまで広まったのでしょうか。
答えは、宮古島ではなく沖縄本島北部・本部半島にあります。
ソーキそばの発祥地｜名護市源河「我部祖河食堂」
ソーキそばが生まれたのは1966年。名護市源河で開店した「我部祖河食堂」がその発祥といわれています。現在は那覇市内を含めて9店舗を展開する人気店ですが、始まりは集落に根付く小さな食堂でした。創業者は金城源治さん（96）と妻の文子さん（98）。2人は幼なじみで、戦時中に本土で働き、戦後に沖縄へ戻って結婚し、4人の子どもを育てながら雑貨店と精肉・鮮魚店を営んでいました。
写真/我部祖河食堂公式HPより
ソーキそばはなぜ生まれた？｜“売れ残ったお肉”から始まった工夫
開業当時、店ではソーキ（骨付き豚肉）がよく売れ残っていたといいます。ソーキは値段が高かったため買う人が少なく、扱いに困ることも多かったそうです。捨てるにはもったいない。そこで源治さんは考えました。「ソーキを甘辛く煮て、沖縄そばにのせてみたらどうだろう」。これがソーキそば誕生の瞬間です。
提供してみると評判は上々。ソーキの旨味がしみ込んだ濃厚なスープ、平打ち麺との相性が抜群で、たちまち地域の人気メニューに。その後、観光客にも広がり、沖縄全域へと広まっていきました。
写真/我部祖河食堂公式HPより
沖縄の暮らしと文化が生んだ味
沖縄では昔から「豚は鳴き声以外、全部食べる」と言われるほど、豚は生活に欠かせない食材でした。骨付き肉はそのままでは硬いため、家庭では長時間煮込んで柔らかくするのが当たり前。つまり、ソーキそばは家庭料理の延長線上にあり、当時の暮らしの知恵がそのまま形になった料理なのです。
創業夫婦は今も現役｜“働き続けることが生きる力”
金城源治さんと文子さんは今も厨房に立ち、麺を丼に入れ、スープの味を確かめています。2024年には2人が「現役で働く世界最高齢の夫婦」としてギネス世界記録に認定されました。「仕事があるから楽しいよ」と笑う2人の姿こそ、ソーキそばがただの食べ物ではなく「人生と家族の物語」であることを物語っています。
写真/我部祖河食堂公式HPより
我部祖河食堂 本店
📍 沖縄県名護市我部祖河177
☎ 0980-52-2888
⏰ 10:00〜15:00（L.O）
休：月曜（祝日の場合は翌日）
宮古島でも愛される理由｜食べ比べが旅を深くする
宮古島には独自の「宮古そば文化」があります。そこに“外からやってきたそば”としてソーキそばが加わり、いまでは多くの飲食店で定番メニューとなりました。宮古そばは素朴で澄んだスープ、ソーキそばは出汁と肉の旨味が深い味。どちらも良さがあり、食べ比べれば旅の記憶はもっと豊かになります。
ソーキそばは、ただの名物料理ではありません。生活の知恵、家族の歴史、そして沖縄の暮らしを背負った“物語のある一杯”。宮古島でソーキそばを味わう時、その背景を思い出すと、きっともっと美味しく感じられます。
宮古島でソーキそばを楽しむなら｜おすすめ店まとめ
宮古島には「宮古そば」の文化が根付いていますが、近年は観光客を中心にソーキそばを求める人が増加。お店ごとに麺・スープ・ソーキの仕上げ方が異なるため、食べ比べを楽しむのも旅の醍醐味です。ここでは、島の中でも「旅行者が行きやすく、味に個性がある」お店を厳選して紹介します。
① 古謝そば屋（こじゃそばや）｜宮古島そばの老舗 × 上品なソーキ
昭和7年創業の老舗。透明感のある澄んだスープと、柔らかく煮込まれたソーキが合わさる、最初の一杯におすすめのやさしい味。観光サイトでも上位常連の人気店。
こんな人におすすめ：優しい・飽きない味が好きな人、最初に“基本形”を食べたい人
住所：沖縄県宮古島市平良字下里1517-1
営業時間：11:00～20:00
定休日：水曜日
TEL：0980-72-8304
② 丸吉食堂｜地元民に愛される「濃い旨」ソーキそば
少し濃いめのスープに、しっかり味が染みたソーキが特徴。店内は素朴で、昔ながらの“島の食堂”そのもの。地元の人も通う味は間違いなし。
こんな人におすすめ：濃厚・インパクトのある一杯が好きな人
住所：沖縄県宮古島市城辺字砂川975
電話番号：0980-77-4211
営業時間：10:30～売切次第終了（目安15:00頃）
定休日：火曜日
③ 大和食堂｜“通の宮古そば”にソーキを合わせるならここ
西里商店街にある昔ながらの食堂。実は「オムライスの名店」として知られていますが、ソーキそばは地元の常連が quietly 愛する一杯。観光地ど真ん中で便利。
こんな人におすすめ：観光の途中で気軽に立ち寄りたい人
📍住所：沖縄県宮古島市平良字西里819-3
📞電話番号：0980-72-0718
🕐営業時間：詳細は店舗またはお電話でご確認ください
④ 伊良部そば かめ｜伊良部島で味わう無添加のやさしさ
なまり節からとる“澄んだうま味”の出汁が特徴。ソーキは軽やかで食べやすく、旅の途中のランチにぴったり。古民家風の店内でゆったり過ごせる。
こんな人におすすめ：体にやさしい味が好きな人、伊良部島ドライブと合わせたい人
住所：〒906-0506 沖縄県宮古島市伊良部字長浜251
電話番号：0980-78-5477
営業時間：11:00～16:00（ラストオーダー15:30）
定休日：不定休
⏰ 11:00–15:00（売り切れ次第終了）
FAQ｜ソーキそばについてよくある質問
Q. ソーキそばと宮古そばの違いは何ですか？
A. 宮古そばは三枚肉などをトッピングに使い、あっさりとした澄んだスープが特徴です。ソーキそばは骨付き豚肉（ソーキ）をやわらかく煮込んだものをのせ、肉の旨味が加わったコクのある一杯になります。味わいの方向性が異なるため、食べ比べがおすすめです。
Q. ソーキそばはどこで生まれたのですか？
A. 発祥は沖縄本島北部、名護市源河の「我部祖河食堂」です。1966年、売れ残りがちだったソーキを無駄にしない工夫として、そばにのせたことがきっかけといわれています。
Q. なぜソーキは売れ残っていたのですか？
A. 当時、ソーキ（骨付き豚肉）は値段が高く、家庭で調理に手間がかかるため購入されにくい食材でした。もったいないという思いと暮らしの知恵が、ソーキそば誕生の背景にあります。
Q. ソーキはどのように調理されているのですか？
A. ソーキは長時間じっくり煮込み、骨からほぐれるほど柔らかく仕上げられます。甘辛い味付けが一般的で、スープとの相性が良くなるよう調整されています。
Q. 宮古島でもソーキそばは食べられますか？
A. はい、島内の多くの食堂やそば屋で食べられます。宮古そばがベースの出汁と麺にソーキが乗るため、沖縄本島とはまた違った味わいが楽しめます。
Q. 観光初日に食べるなら宮古そばとソーキそばどっちがいい？
A. 旅の“味の入り口”としては宮古そば、翌日にソーキそばを食べると味の違いがよくわかり、旅の印象がより深くなります。
Q. どの時間帯が比較的空いていますか？
A. 観光客が多い昼のピーク（12:00〜14:00）は混雑しやすいため、11:00台 or 14:30以降が狙い目です。
Q. 地元の人はどちらをよく食べますか？
A. 普段は宮古そば、ちょっと贅沢したい時やパワーをつけたい時にソーキそば、という人が多いです。日常と特別のちょうど中間にあるのがソーキそばです。
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