
11月1日は泡盛の日|宮古島6酒造所で味わう伝統の一杯
「本格焼酎&泡盛の日」は、毎年8月から9月に始まる泡盛の仕込みが行われ、11月に新酒“本格焼酎ヌーボー”が楽しめることを祝う特別な日です。この日に、宮古島では地元の豊かな風土と歴史が詰まった泡盛が注目を集めます。
宮古島には6つの個性豊かな泡盛酒造所があり、それぞれが独自の伝統や技術で地域の味わいを伝えています。
多良川酒造|宮古島の伝統と自然が育む至高の泡盛
宮古島市城辺砂川に蔵を構える多良川酒造は、創業以来、島の風土と共に歩み続ける老舗の泡盛メーカーです。最大の特徴は、宮古島の地下に広がる天然の洞窟貯蔵庫。年間を通して温度と湿度が一定に保たれるこの環境は、泡盛の熟成に理想的で、長期熟成によって生まれる古酒(クース)の芳醇な香りと深いコクは、他では味わえない逸品です。
多良川酒造の泡盛づくりは、原料の厳選から始まります。南国の太陽を浴びて育ったタイ産米を使用し、宮古島の清らかな地下水で仕込み。熟練の蔵人たちが受け継ぐ伝統の製法と、最新設備による品質管理が融合し、安定した味わいと香りを生み出しています。中でも人気の「琉球王朝」や「古酒多良川」は、土産や贈答品としても高く評価されています。
観光客にとっては、蔵見学や試飲も魅力のひとつ。洞窟貯蔵庫の中で眠る数千本の甕を目にすると、泡盛への情熱と時間の重みを肌で感じられます。また、直売所では蔵限定の特別酒やオリジナルグッズも購入可能。宮古島旅行の記念や、泡盛ファンのコレクションにぴったりです。
地元の人々にとって、多良川の酒は祝いの席や祭事に欠かせない存在。結婚や子どもの誕生に合わせて「記念甕」を預け、将来の節目に開封するという風習も受け継がれています。泡盛は時間とともに熟成し、人々の思い出や歴史と共に味わいを深めていく——そんな文化そのものを、多良川酒造は守り続けています。
📍 所在地:沖縄県宮古島市城辺砂川85
📞 電話:0980-77-4108
🌐 公式サイト:https://taragawa.co.jp/

菊之露酒造|宮古島の誇りを受け継ぐ老舗泡盛蔵元
宮古島市平良西里に蔵を構える菊之露酒造は、創業以来70年以上、島の自然と文化に寄り添いながら泡盛を造り続ける老舗酒造所です。代表銘柄の「菊之露」は、宮古島を訪れた多くの人々に愛される銘酒で、豊かなアロマと複雑な味わいは、まさに島の風土そのものを映し出しています。
菊之露酒造の泡盛づくりは、宮古島の澄み切った地下水と、南国の恵みを受けた良質な米を原料に、伝統の黒麹製法で丁寧に仕込まれます。黒麹菌が生み出す深い旨味とまろやかな口当たりは、熟成を経ることでさらに奥行きを増し、食事との相性も抜群。ストレートや水割りはもちろん、カクテルのベースとしても人気です。
近年では、より香り高く飲みやすいタイプや、長期熟成による古酒(クース)など、幅広いラインナップを展開。特に「菊之露VIPゴールド」や「古酒菊之露」は、贈答品や記念日の乾杯酒として高い評価を得ています。
観光客にとっての魅力は、蔵元ならではの直売所と試飲体験。製造工程を見学すれば、泡盛が生まれるまでの物語を肌で感じられます。また、ここでしか手に入らない限定ボトルや記念ラベルも人気で、旅の思い出やお土産にぴったりです。
地元の祝い事や祭りでは欠かせない存在として、世代を超えて愛される菊之露。飲むたびに宮古島の青い海や温かな人々の笑顔が思い出される——そんな一杯を提供し続けています。
📍 所在地:沖縄県宮古島市平良西里290
📞 電話:0980-72-2669
🌐 公式サイト:https://www.kikunotsuyu.co.jp/

池間酒造|低温熟成が生む、やわらかな旨みと澄んだ余韻
宮古島・砂山ビーチにほど近い平良西原の集落に蔵を構える池間酒造は、1946年創業。現在は二代目の池間太郎氏が蔵を率い、「泡盛本来の味を次世代へ繋ぐ」ことを信条に、島の酒文化を静かに支え続けています。地の利と地下水に恵まれた環境、そして誠実な造りで、宮古の素朴さと気品を併せ持つ一本を届けています。
同蔵の大きな特徴は、もろみの低温発酵・低温熟成と徹底した温度管理。雑味を抑え、**爽やかな香りと“甘くソフトな喉越し”を引き出すことで、泡盛ビギナーでも飲みやすい一本に仕上げます。代表銘柄の「ニコニコ太郎」**は“宮古島のナポレオン”とも称され、食中酒として水割り・ロックはもちろん、カクテルベースにも好相性です。
一方で、時間の妙味を楽しむファンに向けては、**古酒(クース)「瑞光」**を展開。長期熟成がもたらす奥行き、厚みのある旨みと余韻は、池間酒造の静かな矜持を体現するシリーズです(銘柄情報)。
「飲みやすさ」と「深み」を両立させる池間酒造。宮古の風土と丁寧な温度設計が、柔らかくも芯のある味わいを生み出しています。まずはニコニコ太郎で軽やかな一杯を、次に瑞光で熟成の世界へ——そんな“二段階の出会い”がおすすめです。
📍 所在地:沖縄県宮古島市平良西原57-348
📞 電話:0980-72-2425

沖之光酒造|戦後創業の小さな名蔵が守る、澄んだ旨みの泡盛
1948年創業。戦後の宮古島で古謝酒造場として歩みを始め、1979年に“沖縄の光になる”という願いを込めて沖之光酒造へ改称。看板銘柄「沖之光」もこの頃に誕生しました。現在は2代目・古謝満氏の体制で、小さな蔵ならではの丁寧な造りを貫いています。
造りのこだわり
- 小規模×高効率の仕込み
仕込みは週1回、約1.5トンの米を蒸すペース。小規模ながら搬送や攪拌の機械化・コンピューター制御を取り入れ、季節に応じた温度管理で“雑味のない”味わいを狙います。 - “新酒でも1年以上”の貯蔵出荷
まろやかさを引き出すため、一般酒でも最低1年以上寝かせてから瓶詰め・出荷。スッと入っていく清らかな飲み口を支える要です。
代表銘柄・ラインアップ(一例)
- 沖之光(30度/25度)…すっきり飲みやすく、地元の定番。一般酒でも一年以上の貯蔵で香味が整います。
- 沖之光 2001年、10年古酒(30/35度)、古酒43度…熟成由来の厚みと余韻を楽しめる上位レンジ。贈答や記念日に。
こんな楽しみ方が合います
- **水割り(6:4〜5:5)**で軽やかに。食中に合わせやすい“澄み系の旨み”。
- ロックでゆっくり。一般酒でも寝かせ由来の丸みを感じやすいスタイル。
- 熟成好きには10年古酒や43度古酒でコクと余韻を。
📍 所在地:沖縄県宮古島市平良下里1174
📞 電話:0980-72-2245
🌐 公式サイト:https://www.okinohikari.com/(会社概要・商品案内あり)
小さな蔵だからこその“行き届いた造り”と“寝かせてから出す”矜持。宮古島の食や日常に寄り添ってきた一本を、旅の記念にも日々の盃にもどうぞ。

渡久山酒造|黒麹と珊瑚礁の地下水が磨く、やさしい一杯
伊良部島・佐和田の集落に根を下ろす渡久山酒造は、1948年創業の小さな蔵。看板銘柄「豊年」は、計り売りから瓶詰めへ移行した折に“島の豊作祈願”を込めて名づけられた一本です。黒麹で育てた麹米を、珊瑚礁由来のミネラル豊かな地下水で仕込み、常圧でじっくり蒸留。フルーティーで親しみやすい香味が持ち味で、“泡盛は初めて”という方にもすすめやすいスタイルです。
造りのこだわり
- 小規模・手作業中心:週1回、約600kgの米を蒸し、原酒はおよそ600L。基本工程を手仕事で丁寧に積み上げ、雑味を抑えたクリアな酒質を目指します。味わいの要は水。敷地内にも小さな井戸が残り、島の豊かな水文化を今に伝えています。
- 黒麹×地下水×常圧蒸留:黒麹が生むコクと香りを、珊瑚礁の地下水がやわらげ、常圧でのゆっくり蒸留がまろやかな口当たりへと結実させます。
ラインアップ例
- 豊年 30度/35度:島の定番。やさしい甘みとスムーズな飲み心地。
- 豊年 古酒 35度:熟成由来の厚みと余韻をプラス。贈答にも。
- 藍色ゆら 25度:軽やかな飲み口で食中に好相性。
おいしい飲み方
まずは**水割り(6:4〜5:5)**で香りを開かせ、ロックでコクを。ソーダで割るとフルーティーさが引き立ち、食中の幅が広がります。(酒質の特徴は上記各出典の記述に基づく総合的な提案)
蔵見学(要予約・無料)
工場内の蒸米機・三角棚・もろみ貯蔵設備を見学可。
- 実施:月〜金 10:00–16:00
- 予約:前日15:00までに電話
- 所要:約20分/最少1名〜最大10名
- 備考:20歳未満は見学のみ
※最新情報は事前に要確認。
📍 住所:沖縄県宮古島市伊良部佐和田1500 ☎ 0980-78-3006
公式・団体情報:沖縄県酒造組合の蔵紹介ページに基本情報・沿革あり。
黒麹のコクを、島の水がやさしく包む——。渡久山酒造は、**“飲みやすさ”と“島らしさ”**を両立させた伊良部島の誇りです。

宮の華|伊良部島に根づく“華やかで澄んだ”泡盛
1948年創業。伊良部島の蔵で、島の水と黒麹を生かしながら「こころ、つながる」一本をつくり続ける老舗です。代表は下地さおり氏。蔵は宮古島市伊良部字仲地158-1にあり、電話は0980-78-3008。創業来の小規模丁寧仕込みが持ち味です。
味わいの核
一般酒でも最低1年貯蔵してから出荷する方針で、華やかな香りとまろやかな口当たりを両立。蔵には女性杜氏が在籍し、繊細な感性を活かした麹づくりが風味の奥行きを支えます。食中は水割り・お湯割りで軽やかに、ロックでコクを。
代表銘柄の一例
- 宮の華(30度):看板酒。辛口のキレと爽快な香り、日々の晩酌に。
- うでぃさんの酒/華翁:熟成由来の丸みと厚みを楽しめるランク。贈答にも。
- 豊見親古酒:コク深い余韻が魅力の古酒ライン。特別な一杯に。
- もろみ酢:仕込み由来のアミノ酸を含む蔵製品も展開。
名前に込めた想い
社名「宮の華」には**“宮古の枯れない心の華”**という意味が込められ、地域の文化とともに歩む姿勢を体現しています。
蔵見学
事前予約制・少人数対応。こだわりの造りを間近で体感できます(敷地内は撮影不可の案内あり)。訪問前に最新情報をご確認ください。
📍 住所:沖縄県宮古島市伊良部仲地158-1
☎ 電話:0980-78-3008
※公式情報・商品詳細は蔵サイトの「会社案内」「商品紹介」をどうぞ。

泡盛の日は、ただお酒を味わうだけでなく、その一杯に込められた歴史や風土、そして造り手の情熱を感じる絶好の機会です。宮古島や伊良部島の酒造所が紡いできた味わいは、島の海や風、暮らしと深く結びついています。ぜひ、その土地に足を運び、造りの現場や人々との交流を通して、グラスの向こうに広がる豊かな物語を楽しんでください。
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