宮古島で受け継がれている「オトーリ」は、地域や仲間同士の絆を深めるための独特な酒文化です。この風習は宴席などで行われ、参加者全員が一体感を感じられるものとして親しまれています。
オトーリの特徴は、ひとつのグラスを順番に回しながら、飲む人がその場にいる全員へ感謝や思いを伝えることです。飲む前に言葉を添えることで、お酒が単なる嗜好品としてではなく、人と人を結ぶ大切なものとして意味を持つのです。
通常、オトーリは泡盛を用いて行われますが、その際にはグラスを手にした人が「元(もと)」となり、飲み干した後に次の人へ回していきます。この流れがひと巡りし、最初の元に戻るまでがひとつの「オトーリ」となります。地元の人々にとっては、この儀式を通じて互いの絆が深まり、時には初対面の人とも心を通わせる特別な機会となっています。
しかし、コロナ禍においては保健所から中止勧告が出され、一時期この風習を見かけることはほとんどなくなりました。現在では復活していますが、以前のように頻繁に行われることは少なくなっています。それでも、地域の絆を大切にしたいという想いとともに、オトーリは少しずつその姿を取り戻しています。
このような背景を理解しながら、宮古島を訪れた際には、オトーリの伝統を尊重しつつ、地元の人々との交流を楽しんでみてはいかがでしょうか。