【30秒で分かる】
宮古島市総合博物館で、2026年9月13日(日)まで、第46回企画展**「ワラザンとサン―宮古の結縄文化―」**が開催されています。今回の大きな見どころは、明治時代に宮古で収集された「ワラザン」が、約140年ぶりに宮古へ里帰りし、宮古では初めて公開されること。ワラザンとは植物の葉や繊維などを使って数を記録・計算した沖縄特有の道具で、宮古では人頭税とも深い関わりがありました。一方の「サン」は、植物を結んで魔除けや豊作祈願、意思表示などに使われてきたものです。文字や数字だけに頼らず「結ぶ」ことで情報や願いを伝えてきた、宮古の知られざる文化を知ることができる企画展です。

「ワラザン」と「サン」をテーマにした第46回企画展
宮古島市総合博物館で開催されている第46回企画展のテーマは、「ワラザンとサン―宮古の結縄文化―」。
開催期間は2026年7月24日(金)から9月13日(日)まで。当初は7月17日からの予定でしたが、台風9号の影響によって開幕が延期され、7月24日からの開催となりました。会場は宮古島市総合博物館の特別企画展示室です。
「ワラザン」「サン」と聞いても、現在では何を意味する言葉なのか分からない人も多いかもしれません。しかし、どちらもかつての宮古の暮らしや信仰と深く関係していた文化です。
ワラザンとは?「結び目」で数を記録した道具
ワラザンは、植物の葉や繊維などを利用して、数の記録や計算をするためにつくられた沖縄特有の道具です。
紙に数字を書くのではなく、植物を結んだり加工したりすることで数量などの情報を記録しました。
宮古では特に人頭税と深い関係を持っていたことが分かっています。琉球王国時代から明治時代にかけて広く使用されていましたが、現在では一部の祭祀行事でつくられる程度になっています。
現代ではスマートフォンに数字を入力すれば簡単に記録できますが、そのような道具が存在しなかった時代、島の人々は身近にある植物を利用して情報を記録していました。
ワラザンを見ることは、単に昔の道具を見ることではありません。そこから当時の宮古の暮らしや社会の仕組みまで見えてきます。
宮古と「人頭税」の歴史
ワラザンを理解するうえで避けて通れないのが、宮古・八重山の歴史に残る人頭税です。
宮古では税に関する数量を把握する必要があり、その中でワラザンが重要な役割を果たしました。宮古島市総合博物館も、今回の展示案内で「宮古では、人頭税に深い関わりをもっています」と説明しています。
現在の私たちから見ると小さな植物の結び目にしか見えなくても、当時の島民にとっては生活に直接関係する重要な「記録」だったのです。
宮古島の歴史を知る資料としても、ワラザンは非常に興味深い存在です。
最大の見どころ|約140年前のワラザンが宮古島へ里帰り
今回の企画展で特に注目したいのが、明治時代に宮古で収集されたワラザンの里帰り展示です。
現在は国立民族学博物館が所蔵している資料で、宮古島市によると約140年ぶりの里帰りで、宮古で公開されるのは今回が初めてです。
約140年前、実際に宮古でワラザンが広く使われていた時代に集められたものが、長い年月を経て再び宮古へ戻ってきたことになります。
今回の企画展が単なる民具展示ではなく、宮古の歴史そのものを振り返る貴重な機会といえる理由の一つです。
実際の祭祀でつくられたワラザンも展示
展示されるのは明治時代の資料だけではありません。
宮古の祭祀行事の中で実際につくられ、その後、宮古島市総合博物館が収蔵したワラザンも紹介されています。
つまり、過去の生活道具として姿を消しただけではなく、形を変えながら現在の宮古文化にも残されていることが分かります。
歴史資料と比較しながら見ることで、ワラザンという文化が宮古でどのように受け継がれてきたのかを考えることができます。
「サン」とは?祈りや意思を伝える結び
もう一つのテーマが「サン」です。
ワラザンが主に数の記録や計算に使われたのに対し、サンは植物の葉や茎を結んでつくり、魔除け、豊作祈願、意思の表明などに使用されてきたものです。
宮古では「サン」という名称よりも、**「マータ」「ミイマタ」「ミツマタ」**などと呼ばれることが多く、沖縄本島では「サングヮー」「ゲーン」と呼ばれるものがあります。
同じ「植物を結ぶ」という行為でも、数を記録するものと、祈りや意思を表すものが存在していたことになります。
実は現在の宮古島でも見ることがある
サンの文化は完全に消えてしまったわけではありません。
宮古島市によると、昔ほど盛んではなくなったものの、現在でも畑に立てられた「マータ」を目にすることがあるといいます。
さらに興味深いのが、島尻地区に伝わる仮面祭祀「パーントゥ」との関係です。
宮古島市総合博物館によると、島尻のパーントゥの頭にもマータがあります。
「昔の博物館資料」と思っていた結縄文化が、実は今も宮古島の風景や祭祀の中に残っていることが分かります。
「結ぶ」ことが言葉になった宮古の文化
ワラザンとサンを並べて見ると、共通しているのが植物を「結ぶ」という行為です。
一方では数量を記録し、もう一方では魔除けや豊作への願い、意思などを表す。
現在なら数字や文字で伝える情報を、身近な植物と結び方によって表現していたことになります。
その背景には、島の自然環境だけでなく、税制度、農業、祭祀、信仰など宮古の生活そのものが存在します。
今回の企画展は、「昔の縄を見る展示」というより、宮古の人々がどのように情報を記録し、どのように願いを形にしてきたのかを知る展示として見ると、より面白く感じられるでしょう。
子どもにも分かりやすい展示
「結縄文化と聞くと難しそう」と感じる人に向けて、今回の企画展では子どもから大人までワラザンについて理解できるよう工夫されています。
「何からつくられているのか」「どのように使われたのか」といった疑問からワラザンの世界を知ることができる展示になっています。
宮古島の歴史を勉強している人だけではなく、夏休みの子どもたちが地域文化を知る機会としても利用できそうです。
9月13日の最終日には学芸員による展示解説
展示担当学芸員による解説も実施されています。
今後は**最終日の9月13日(日)**に予定されており、この日は通常とは時間が異なります。
やさしい解説:午後1時〜
くわしい解説:午後3時30分〜
「やさしい解説」は初めてワラザンを知る人向け。「くわしい解説」では研究史や資料の希少性など、さらに深く知りたい人向けの内容となっています。いずれも事前申し込みは不要と案内されています。
国立民族学博物館なども協力
今回の企画展は宮古島市総合博物館が主催し、国立民族学博物館、琉球大学博物館(風樹館)、沖縄県立芸術大学附属図書・芸術資料館が協力しています。
宮古島だけではそろえることのできない貴重な資料を通して、地域に残された文化をあらためて見つめ直す展示となっています。
第46回企画展「ワラザンとサン―宮古の結縄文化―」開催情報
**企画展名:**第46回企画展「ワラザンとサン―宮古の結縄文化―」
**開催期間:**2026年7月24日(金)〜9月13日(日)
会場:宮古島市総合博物館 特別企画展示室
**住所:**沖縄県宮古島市平良東仲宗根添1166-287
**電話:**0980-73-0567
**主催:**宮古島市総合博物館
※台風9号の影響により、当初予定されていた7月17日から7月24日へ開催開始日が変更されています。
まとめ|約140年前の宮古島と現代を「結ぶ」企画展
ワラザンは数を記録するために使われ、サンは魔除けや豊作への祈り、意思などを表すために使われてきました。
どちらにも共通しているのは、島にある植物を利用し、「結ぶ」ことによって何かを伝えてきたことです。
特に今回は、明治時代に宮古で収集されたワラザンが約140年ぶりに里帰りし、宮古で初公開されています。
宮古島の歴史というと、城跡や人頭税石などに目が向きがちですが、人々が実際にどのような道具を使い、どのように暮らしていたのかを知ることも、島の歴史を理解する大切な手掛かりです。
2026年9月13日(日)まで。
宮古島に暮らしている人はもちろん、観光で訪れた人にも、海とは違う「宮古島のもう一つの顔」に触れられる企画展です。



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