2025年も引き続き、宮古島は多くのクルーズ船が寄港する人気の観光地となっています。特に平良港(宮古島港)では、春以降、国内外の大型客船が定期的に寄港しています。
■ クルーズ寄港は回復傾向
コロナ禍を経てクルーズ事業は徐々に回復し、2024年後半からは外国船の寄港も本格的に再開。2025年には年間100回以上の寄港が見込まれており、1回の寄港で最大3,000人を超える観光客が宮古島を訪れる日もあります。
中国・韓国・台湾からの大型船に加え、国内の瀬戸内・九州発着のクルーズも増加傾向にあり、寄港のたびに市街地や観光スポットは賑わいを見せています。

■ 地元経済への追い風
クルーズ船の寄港は、宮古島の観光・飲食・物販業にとって大きな収益源となっており、市内中心部の商店街やレンタルサイクル業者、タクシー会社などでは売上の増加が報告されています。
特に午前〜午後にかけて滞在する「日帰り観光客」は、与那覇前浜や伊良部大橋といった主要スポットを巡り、短時間で多くの消費をもたらす存在です。
■ 一方で浮かび上がる課題
しかし、クルーズ寄港の増加は観光インフラや交通網への負荷も顕著です。
- タクシー不足により、乗車待ちの長蛇の列
- 飲食店の混雑・予約困難
- 観光地のゴミ問題やマナー課題
- 島民の生活道路や買い物エリアの混雑
こうした「オーバーツーリズム」の兆候は、地域住民や観光事業者の間でも話題となっており、今後の持続可能な観光のあり方が問われています。
■ 宮古島市の取り組み
宮古島市では、クルーズ船寄港時の案内スタッフ配置や外国語パンフレットの配布、シャトルバスの導入、事前予約制観光ツアーの推進など、混雑緩和と満足度向上に向けた対応を強化しています。
また、2025年度からは「寄港日カレンダー」を活用し、住民・事業者・観光客がスケジュールを事前把握できる仕組みづくりも進められています。
■ まとめ
宮古島は今後もクルーズ観光の重要なハブとして注目される一方、地域と観光の調和が鍵を握ります。訪れる人々がこの島の自然・文化を尊重し、地元と共生する観光スタイルが求められています。
クルーズの賑わいを歓迎しつつ、島の暮らしと環境を守る――その両立が、これからの宮古島の未来を左右するでしょう。