多良間島の抱護林とは|280年前に島を守るためにつくられた緑の防壁

🌳 30秒で分かる|多良間島の抱護林
・約280年前に島を守るため築かれた防風林
・台風や潮風から集落と畑を守る“緑の防壁”
・島をぐるりと囲む独特の景観が特徴
・観光地ではなく生活と共に生きる文化遺産
・多良間島の暮らしと知恵を象徴する存在

🌳多良間島の抱護林

多良間島を空から見ると、不思議な景色に気づきます。サトウキビ畑が広がる平坦な島の中心部を、まるで包み込むように続く一本の緑の帯。これが**多良間島の抱護林(ほうごりん)**です。観光スポットというより、「島そのものを守ってきた存在」。多良間島を理解するうえで欠かせない静かな文化遺産です。

🌿 抱護林とは何か?

抱護(ほうご/ポーグ)とは、琉球王国時代に整備された集落を守る人工林帯のこと。18世紀、琉球王国の政治家・蔡温による林政政策の中で整備されました。目的は単なる植林ではありません。強い季節風から集落を守り、台風被害を軽減し、水源を保ち土壌流出を防ぎ、木材資源を育てること。つまり抱護林は、生活・農業・防災を一体化した環境インフラでした。

🏝 なぜ多良間島に残ったのか

かつて琉球各地に存在した抱護林ですが、現在原形に近い形で残るのは多良間島のみとされています。地形が平坦で風を直接受けやすいこの島では、集落を囲むように約1.5km以上の林帯が整備されました。幅12〜16mほどの森が村を抱き込むように配置され、「抱いて護る森」という名前の意味をそのまま表しています。

🌬 風水思想で設計された村

抱護林は防風林であると同時に、風水思想を取り入れた集落設計でもありました。背後に森を置き、前方に農地を広げ、集落全体を緑で包む配置。南側に自然の丘がない多良間島では、人工的な森を配置して守りを補ったとも伝えられています。自然環境と思想が融合した、当時としては非常に高度なランドスケープ設計でした。

🌱 林業遺産・天然記念物としての価値

多良間島の抱護林は現在、沖縄県指定天然記念物に指定され、日本森林学会による「林業遺産」(2018年)にも認定されています。琉球王国時代の林業政策を今に伝える、県内唯一ともいえる貴重な文化景観です。

🚶‍♂️歩いて感じる“島を守る距離”

抱護林は観光施設ではありません。派手な案内も展望台もありませんが、集落を歩いていると風の当たり方が変わる瞬間があります。それが280年前に設計された「暮らしの防御線」。散歩しながら歩くことで、この森が景色ではなく生活そのものだったことに気づきます。

🌾 抱護林が今も支える島の農業

多良間島の主産業であるサトウキビ栽培や畜産は、抱護林によって守られています。強風を和らげ、土壌環境を安定させ、生態系を維持する役割は現在も続いています。抱護林は歴史遺産であると同時に、今も機能する現役のインフラなのです。

🌿 編集部視点|みゃーくずみ

多良間島には高い山も大きな建物もありません。それでも集落が何百年も続いてきた理由があります。それは自然に逆らうのではなく、自然と共に設計したから。抱護林は景色ではなく「知恵の形」。未来を守るために植えられた木々が、いまも静かに風を受け止めています。

📍多良間島 抱護林

(塩川〜白嶺周辺一帯)

※生活空間のため静かに散策を楽しみましょう。

📍 Googleマップで場所を確認する

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