
沖縄・宮古諸島のひとつ、池間島の海岸でこのほど、オカガニ(陸生のカニ)の集団放卵が観察されました。
旧暦6月の満月前夜、浜辺に続々と姿を現したのは、卵を抱えたメスのオカガニたち。
彼女たちは1年に一度、命を未来へとつなぐため、夜の海へと向かう神秘的な旅に出ます。

🌊 陸から海へ、命を運ぶ“満月の夜の儀式”
オカガニは、ふだんは林や草地など陸上で生活するカニですが、産卵の時期だけ海へ向かいます。
しかもそのタイミングは決まって、旧暦6月の満月の前後数日間の夜間。
これは、潮の満ち引きや月明かりなど、自然のリズムと密接に関係していると考えられています。
今年の池間島では、例年以上に多くの個体が確認され、**道路や側溝、堤防沿いなど、至るところでカニたちの“大移動”**が繰り広げられました。

夜の波打ち際では、卵を抱えたメスが泡をまといながら、腹部から海へと卵を放つ様子が静かに進行していました。
その姿はどこか儀式的で、見る者に深い感動を与えます。

🛑 カニたちの“命がけの産卵”を守る島の取り組み
この放卵行動は、オカガニにとって命がけの行為です。
外敵だけでなく、人間の生活圏を横断する道路や車の往来が大きな障害になります。
そのため、池間島では地元住民や自然保護団体によって、
- 夜間の車両注意喚起
- 懐中電灯の使用自粛
- 道路沿いへの警告看板の設置
など、放卵期間中のカニたちへの配慮が進められています。
特に今年は、観察者が増えるなかで「ライトで照らし続けない」「素手で触らない」「車でひかないよう徐行する」といった呼びかけが強化されています。
🌺 島のリズムに寄り添う旅を
宮古島・池間島の自然は、ただ“美しい”だけではありません。
そこには、生き物たちが数百年、数千年と繰り返してきた生命の営みが息づいています。
オカガニの放卵は、自然の神秘とともに、人と自然の共存のあり方を静かに問いかけてきます。
この光景に立ち会うときは、ぜひ“観察する側のマナー”も大切に。
島の自然と文化に敬意を持って、そっと寄り添う気持ちで接してみてください。
📍 オカガニ放卵の見頃(宮古諸島)
- 時期:旧暦6月の満月前後の夜(2025年は7月19日前後)
- 時間帯:夜8時〜深夜0時ごろにかけて活発
- 観察ポイント:池間島、来間島、宮古本島北部の海岸沿いなど
📸 オカガニの放卵風景は、みゃーくずみ公式Instagramでも近日公開予定!
📰 出典:Yahoo!ニュース(琉球朝日放送)
最近のコメント