
🌿 海と大地が出会う神秘の森
ウプカーマングローブ(川満マングローブ)|湧水が育む、宮古島の「海の森」
沖縄県宮古島市下地字川満。
島の南部に位置する川満漁港の一角に、静かに息づくもう一つの自然の奇跡――それがウプカーマングローブです。
「ウプカー」とは、宮古方言で「大きな湧き水(大川)」を意味し、淡水と海水が交わるこの場所には、島内で最も規模が大きく、多様性に富んだマングローブ林が広がっています。

🌊 湧水と潮が織りなす“生きた境界”
ウプカーマングローブが特別なのは、海と陸のあいだに湧き出す豊かな水脈にあります。
与那覇湾から潮が満ちてくると、川満漁港の入り口を通って海水が流れ込みます。一方で、林の足元では地下から**真水の湧水(ウプカー)**が絶え間なく湧き出しています。
この**“汽水域”と呼ばれる特殊な水環境**は、潮の干満に応じて絶えず水位と塩分濃度が変化し、その環境に適応できるマングローブだけが生き残れる過酷な生態系でもあります。
ここには、
- メヒルギ(目蛭木)
- オヒルギ(雄蛭木)
- ヤエヤマヒルギ(八重山蛭木)
- ヒルギダマシ(ヒルギ擬)
という、ヒルギ科の4種が共存し、学術的にも非常に貴重な場所とされています。
🌱 命の営みを歩く、遊歩道と観察デッキ
園内には全長390メートルの木製デッキ遊歩道が整備されており、森の中に足を踏み入れると、まるでマングローブたちと“同じ目線”で世界を眺めているような感覚になります。
- 小さなカニが穴から顔を出す
- 渡り鳥が木陰で羽を休める
- 干潮時には露出した根が迷路のように広がる
これらの光景は、ただの「観光地」では味わえない、生き物たちの生活そのものを垣間見る体験です。
途中には展望デッキや敷石歩道も設けられており、自然観察や静かな休憩に最適。説明パネルもあるため、子ども連れのファミリーや学びを求める旅行者にもおすすめです。
🧭 宮古島の「原風景」が残る場所
かつて宮古島では、湧水は命の源でした。
この川満の湧水(ウプカー)も、昔から生活用水として利用されてきた大切な水源のひとつ。周囲の自然は、人々の暮らしと共存しながら守られてきた風景でもあるのです。
現在のように観光地として整備される前から、地域住民にとってこの場所は“日常の延長線にある自然”でした。
そのため、観光客もこの場所に立つと、どこか懐かしさや安らぎを感じるのかもしれません。
🚧 訪問時の注意点
現在、一部の遊歩道が老朽化・破損により立入禁止となっている区間があります。
安全のため、現地の看板表示に従い、無理な侵入は控えてください。宮古島市の観光課や現地施設に問い合わせれば、最新の状況を確認できます。
📍 基本情報
設備:駐車場(漁港周辺に一部あり)、案内パネル、簡易トイレ(周辺施設による)
名称:ウプカーマングローブ(川満マングローブ)
所在地:沖縄県宮古島市下地字川満
アクセス:宮古空港から車で約15分/川満漁港すぐ
特徴:ヒルギ類4種が共存、湧水と海水が織りなす汽水域、遊歩道・展望デッキあり
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